2008/11/27 (Thu)
あに銀 + キン/コン/ヒル/ズ + 酒 で書きましたとさ。
この半端な神楽は次の作品にリンクする・・・はず。です。
273訓のその前。↓
この半端な神楽は次の作品にリンクする・・・はず。です。
273訓のその前。↓
_
深夜の寝室を照らす月明かり、通りかかった襖の隙間に覗いたのは、一筋の滴だった。
「銀ちゃん?」
思わず口を塞いだ。声をかけるべきではなかった。
しかし彼から何も反応はなく、どっぷりと眠りの中にいることは直ぐに分かって、口元に添えた手を解いた。
確かに目尻から頬を伝う筋を再度確認してから、静かに、彼女は襖を閉じた。
「おやすみなさい…」
コップに汲んだ水道水に口をつけながら自室に戻る間、彼の頬の筋が、瞳の奥、頭の奥、心の奥に映っていた。彼女が想像もしなかった彼がいる。今もまた眠りの中で涙を流しているのかもしれない、あんな幼い表情をして。
「怖い夢でも 見てるアルか?」
布団の中に入っても、ぐるぐる頭の中は回っていて、先ほどまでは保てていた平常心は猛然と消え失せていた。何か彼を悲しませる事でもあったのだろうか、誰かが彼を傷付けたのだろうか…大人があんな風に泣くなんて知らなかった。
「眠れないよ…銀ちゃん」
寝返りの度に瞼の奥で、月明かりに浮かぶ白髪頭の男の頬が光る。見てはいけないものを見てしまった。
「…泣かないで」
理由も知らないのに、彼女の頬に彼と同じものが伝った。彼女の知らない彼など、彼女の目に触れる場所に晒さないで欲しかった。彼女の目に彼は完璧であるはずだった。あんな姿は自分には見られたくなかったはずで、それで神楽と銀時がお互いに見るバランスはとれていたはずだ。
「泣かないで」
擦った瞼はきっと真っ赤だろうが、彼女はそれでも起き上がって、あの襖の前に立った。
単純なわがままだ。いつもの、いつも彼が見せてくれる彼に会いたかった。
たかが木枠に紙の張り付いただけの扉の向こうを見るのに、こんなに勇気がいるのだろうか、手をかけてはまた下ろし、深呼吸をしては溜め息にして吐き出した。
銀時の想像しない神楽も、神楽の想像しない銀時も、存在するのは嫌だ。
きっと今の自分もそう、あってはならない。
「銀ちゃん…私は、変わらないから」
誓いのように呟いた彼女が、思い切り、壊さない程度に二度蹴った襖を、静かに引いた。
「……何?」
「眠れないアル」
________end
深夜の寝室を照らす月明かり、通りかかった襖の隙間に覗いたのは、一筋の滴だった。
「銀ちゃん?」
思わず口を塞いだ。声をかけるべきではなかった。
しかし彼から何も反応はなく、どっぷりと眠りの中にいることは直ぐに分かって、口元に添えた手を解いた。
確かに目尻から頬を伝う筋を再度確認してから、静かに、彼女は襖を閉じた。
「おやすみなさい…」
コップに汲んだ水道水に口をつけながら自室に戻る間、彼の頬の筋が、瞳の奥、頭の奥、心の奥に映っていた。彼女が想像もしなかった彼がいる。今もまた眠りの中で涙を流しているのかもしれない、あんな幼い表情をして。
「怖い夢でも 見てるアルか?」
布団の中に入っても、ぐるぐる頭の中は回っていて、先ほどまでは保てていた平常心は猛然と消え失せていた。何か彼を悲しませる事でもあったのだろうか、誰かが彼を傷付けたのだろうか…大人があんな風に泣くなんて知らなかった。
「眠れないよ…銀ちゃん」
寝返りの度に瞼の奥で、月明かりに浮かぶ白髪頭の男の頬が光る。見てはいけないものを見てしまった。
「…泣かないで」
理由も知らないのに、彼女の頬に彼と同じものが伝った。彼女の知らない彼など、彼女の目に触れる場所に晒さないで欲しかった。彼女の目に彼は完璧であるはずだった。あんな姿は自分には見られたくなかったはずで、それで神楽と銀時がお互いに見るバランスはとれていたはずだ。
「泣かないで」
擦った瞼はきっと真っ赤だろうが、彼女はそれでも起き上がって、あの襖の前に立った。
単純なわがままだ。いつもの、いつも彼が見せてくれる彼に会いたかった。
たかが木枠に紙の張り付いただけの扉の向こうを見るのに、こんなに勇気がいるのだろうか、手をかけてはまた下ろし、深呼吸をしては溜め息にして吐き出した。
銀時の想像しない神楽も、神楽の想像しない銀時も、存在するのは嫌だ。
きっと今の自分もそう、あってはならない。
「銀ちゃん…私は、変わらないから」
誓いのように呟いた彼女が、思い切り、壊さない程度に二度蹴った襖を、静かに引いた。
「……何?」
「眠れないアル」
________end
PR